社長挨拶


藤村直人 代表取締役社長の藤村直人(ふじむら なおと)です。

2014年12月から、弊社で『シリカガラスコーティング』の販売を開始することになりました。耳慣れない言葉ですが、この機会にぜひ覚えて頂きたい、大事な言葉です。
詳しくは本ホームページの中の説明をご覧いただきたいと思いますが、広く『ゾルゲル技術』と云われる材料技術分野からうまれた技術です。

私の専門は、『電気化学』と云う、物理と化学の両方にまたがる分野です。キヤノン時代に、長きにわたって研究・開発に携わりましたが、これは大いに役立ちました。即ち、開発の成功のカギは、材料-処方-製造-評価-フィードバックが効果的に循環する事で、専門技術は勿論ですが、ジェネラルに物事を考え、扱い、伝える事が重要です。

お陰様で、私は、『有機感光体(OPC)』(レーザープリンターのカートリッジの心臓部にあたります)の開発リーダーの大役を担い、世界最後発でありながら世界一にのし上げるという成果を上げることができました。この時に開発した『ビスフェノールZ型ポリカーボネート』は、OPCの主要材料として、今日でも全世界で使用されています。

また同時に、0,1μm以下という超薄膜の均一コーティング技術を開発しました。
この成功のおかげで、幅広く機能性材料の研究・開発を担当する事になり、1990年、(株)中戸研究所の故山本亨所長と井狩・・社長と出会い、初めてゾルゲル技術を知り、キヤノンに技術導入しました。最初の製品がカメラの防曇アイピース(ファインダーキャップ)で、長野オリンピックで活躍しました。

以来、関西新技術研究所(KRI)と共同で、薄膜PZT(インクジェット用ピエゾヘッド)の開発、大阪府立大学南努教授(後に学長、現在名誉教授)の指導の下、SWS(ゾルゲル法によるナノ構造体、全方位に有効な反射防止コーティング膜)の開発(現在フルラインナップ化進行中)等を手掛けて来ました。

『ゾルゲル技術』は、アルコキシシリケートという原材料モノマーを出発点としますが、シリカ以外にも各種のバリエーションがあります。モノマーは反応性の異なる3種あります。また、アルコキシなるモノはメチル、エチル、ブチル・・・など多くのバリエーションがあります。更に、オリゴマーと称する、中間体が数多くあります。更に、反応速度を調整するための各種触媒、コーティング液の粘度を調整するために、最適な希釈溶剤の選定、濃度の調整、コーティング方法の検討、コーティング条件、超薄膜の場合、積層条件の最適化、エージング条件の検討、等など、経験知に基づくノウハウの塊の技術です。これが、技術や発想が古くからありながら、中々理想的なガラスコートが登場してこなかった大きな理由です。逆に、これからまだまだ発展する可能性が大きい、楽しみな技術でもあります。

弊社は、これらを踏まえた、『ゾルゲル技術』の基本に根差した、技術サービスとアフターケアーで、お客様の幅広いニーズに答え、ご満足を頂く事をモットーに、商品をお届け致します。今後、更なる品質の向上、新しい機能の付加、新しい基本材料の開発を行なって行きます。また、今までの技術蓄積を活用して、新しい分野の商品提供を目指して、技術と製品開発にまい進して参ります。  

藤村直人の略歴

1973年東京工業大学理工学部電気化学科を卒業。
キヤノン入社、中央研究所勤務。
セレン、テルル感光体、UV硬化絶縁層等の開発に携わる。
1980年代複写機用有機感光体(OPC)の開発リーダー。
Z型ポリカーボネートの共同開発(三菱ガス化学)により、OPCの耐久性を飛躍的に向上させた。現在も全世界で使われている。
メトキシメチル化ナイロン(中抵抗材料)を帝国化学と共同開発。
1990年代Sol-Gelハイブリッド材料(防曇アイピース、SWS無反射レンズ、インクジェット用薄膜ピエゾ)の開発を主導。
シリコーン変性ポリカーボネートの共同開発(三菱ガス化学)。
エココーティング(二液混合硬化型ウレア樹脂)の製品化。
新規な二次電池用個体電解質の共同研究 (上智大、ユニケミカル)。
2004年Solar Marine Farm(SMF)構想(廣崎芳次博士と共同)を山口県東和町で実験。
2006年EZBioシステム(バイオマス全利用技術)構想。
2008年NPO法人地域交流センター・森の駅推進協議会幹事。
キヤノンを退職。
2011年信越化学工業㈱と共同でバイオマス材料の開発に着手。
特許第3870982号「耐水性インク組成物」権利取得(信越化学工業㈱と共権)。
2013年過熱水蒸気プラズマの特許を出願。
ガラスコーティングのフィールドテストに着手。
鉛バッテリーの再生技術にフィールドテストに着手。
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